マッシャ・ハルバースタッド
Mascha Halberstadt(1973〜 )
オランダ、アーネムのArtEZに学んだアニメーション作家。オランダ郊外にHoly Motionという名のアニメーションスタジオを設立し、その第一作が『愛しのクノール』。
『さよならミスター・ド・フリース』(原題:『Goodbye Mr. De Vries』)2012年
『ムニャ・イン・ミー』(原題:『MUNYA IN ME』) 2014年
『Wild Frontier』2015年
The Prodigy の曲『Wild Frontier』のためのミュージック・ビデオ。
『愛しのクノール』(原題:『KNOR』)2023
マッシャ・ハルバースタッド監督作で彼女とプロデューサーのマルリーン・スロット(Marleen Slot)が共同で設立したアニメーションスタジオHoly Motionの第一作。
少女バブスは子犬が欲しいと思っていたが、突然アメリカからやってきた祖父から誕生日に子豚をプレゼントされる。バブスは、最初は戸惑ったがクノールと名付けられた子豚をやがて可愛がるようになる。
しかし祖父には過去に何か秘密があるようだった。そして町では百回目のソーセージ王コンテストが開かれようとしていた。
人形というものは本来可愛らしいもので、本作にはその可愛さが沢山ある。登場する二人の子供や犬たち、他の登場人物の造形も愛らしい。そして特に子豚のクノールの造形と動きは秀逸で、こやつはあちこちで糞をするのだが、その時のクノールの表情が「何か問題でも?」みたいな顔をしているのが可笑しい。
そのクノールをしつけようとして犬の訓練学校に通わせる場面は、ロマン・カチャーノフによるソヴィエト人形アニメーションの傑作『手袋』を思わせる。監督はこれを観ているのではないだろうか。
意外と深刻なテーマもあって、菜食主義者と食肉への禁忌のお話でもある。子供向けのアニメーションでそのようなことがテーマになるくらい欧州では一般的なことなのだろうか。
監督はスタジオHolyMotionで次作『FOX AND HARE SAVE THE FOREST』を準備中とのこと。ただし次は3DCGアニメーションであるらしい。
参考