人形アニメーション 夜話

人形アニメを動画で紹介

デューク・ジョンソン

Duke Johnson(1979~

米国、ミズーリ州生まれのアニメーション監督。
高校時代にシカゴ・コロンビア大学の映画コースで学んだことを初めとして、ニューヨーク大学でもアニメーションについて学びました。
チャーリー・カウフマンと共同監督した『アノマリサ』は、アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされています。アニメーション・映像製作スタジオ、Starburns Industriesに所属していて『アノマリサ』も同スタジオの製作です。

『アノマリサ』(原題:Anomalisa)2015年

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顧客対応についての著書を持つ男は、講演の為にある町へ訪れる。しかし彼には誰も彼もが同じ顔同じ声にしか感じられなかった。しかし宿泊先のホテルで女性らしい声を聴き、彼女に一目ぼれした男は、女性と一夜を共にすることになる。という粗筋です。

観始めた時は、女性のキャラクターの声が男性だったので、これはゲイであることを表しているのだろうか、などと思いながら観ていました。キャラクターの顔が似ているのも、そういう造形なのだと。でも段々違和感が増して分かって来る。

 物語については、各人捉え方があると思いますが、ラスト近く、講演会の場面で主人公が、抗うつ剤のせいか?といった台詞をつぶやくことから精神の不調を描いた物語という風に思えました。何れにしても意味深で不思議なお話に仕上がっています。

人形アニメーションの技術については、素晴らし過ぎるとしか言いようがありません。近年の人形アニメーションの技術は3Dプリンターの利用などによって進歩が著しいですが、その中でも特筆すべき作品と言えるでしょう。
人形アニメはファンタジー、おとぎ話にとても向いているアニメーション表現ですが、本作のようにひたすらリアルにこだわった作品は稀有と言えるでしょう。中年の男女のセックスシーンを描いた人形アニメーションなんて今まで観たことがありません。
あまりにもリアルなセットと人形の演出なので最初は、人形アニメで描く必然性はどこにあるのだろう、実写映画でもよいのでは?と思っていましたが、他人が同じ顔に見え、同じ声に聞こえるという非現実的な設定は人形アニメーションに適した物語だと思えます。現実と非現実の狭間を人形だからできる表現として利用しているところも興味深いです。顔に顔面のパーツの継ぎ目が入っているのは、人形であることをわざと意識させる造形でもあると思います。

メイキング動画

www.youtube.com動画の冒頭に登場している黒いTシャツを着た男性がデューク・ジョンソン監督です。

 


『Mary Shelley's Frankenhole』2010~2012
テレビで放送された大人向けアニメーション作品。深夜時間帯に放送されるAdult Swimという枠で放送されていたようです。

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『Moonwrapped』2017年
MusicVideoの為のショート・フィルム

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参照

Duke Johnson - Wikipedia

Anomalisa - Wikipedia

Duke Johnson on Vimeo

https://www.starburnsindustries.com/